宇多田ヒカルさんもオススメしていたという
『文章読本』谷崎 潤一郎 著 を読みました。
文章のスキルアップを図るための本として手に取りました。

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昭和9年に書かれた本なのですが、ほとんど現在でも通用する内容です。
なぜならば、たとえば、英語との比較で、日本語とは? 、日本人とは? について、
語られているのです。そもそも日本語とは? の説明があるからこそ、
もっと、言語を品よく使いたいとか、日本語らしく使いたいという欲求が、
読みながら湧きおこってきました。
その欲求こそが、文章上達のために大切なことなのでしょう。
谷崎氏は、日本語って面白いでしょ、ということを伝えてくれているように感じました。

また、作者の本音めいたものが、随所に見え隠れするところが、
とても面白いのです。エッセイのテイストです。

文の調子というものについて書かれていた章は、
「調子は音楽的要素」と最初に説明がありました。
段々読み進めて行くうちに・・・・、

「もしある人が自分の調子を変えようと欲するなら、
むしろ心の持ち方とか、体質とか、いう方面から
改めてかかるべきであります」

と書いてありました。

「心を改めよ」というところを解決案に持ってくるところは、
私の仕事からして、とても合点のいく意見でした。

確かに、心の持ち方を変えることで、句読点の打ち方も変化します。
私の経験上、呼吸が浅いと、短くなると感じています。

以前の私は、句読点が多すぎると、妹に指摘されていました。
妹が私の文章を音読したとき、さらに露呈され、恥ずかしいけれど笑いました。
あの時は、考え方も今より浅く、とてもせっかちだったかと。


文章の品格についても、「優雅の心を体得することに帰着する」と述べられていました。
確かにそう思います。文章とは、心が反映されるものであると、
毎日ブログを書いているのでとても感じます。


そして、ページが残りわずかになってきたとき気づいたことがありました。
昭和9年の文体ですから、今なら「・・・です」のところが、
「であります」とすべてなっていることに。

・・・であります。・・・・であります。となっているのに、
そんなに気になっていなかった自分に笑えてきました。

谷崎氏の流れるような文体に改めて感銘を受けたのでありました。