『きみに読む物語』のライアン・ゴズリング&『世界にひとつのプレイブック』のブラッドリー・クーパー。主役級の二人が同時に出演しているというだけで、驚きの映画です。演技は抜群すぎて、クーパーの新米警官ぶりは、ちょっとだけ腰は引けている正義感満々である感じがすごく出ていて、38歳のクーパーには見えませんでした。
 ゴズリングは、体の鍛え方がすごい!顔は小さいのにあんなにマッチョで、愛のために銀行強盗を働いて金を稼ごうとする悪なのですが、それって、悪いことなの? と観ているこちらも惑わされちゃうのです。切ないです。

 どちらかというと、ブラッドリー・クーパー好きな私は、彼の登場をいつかいつかと待ちわびていたのですが、なんと、中盤で、ライアン・ゴズリングと主役交代の流れに来て、切り替わりました。そして、なんと3幕目もあるのです。主役が1つの映画のなかで3人入れ変わるとは・・・。考えさせられるし、余韻の残る素晴らしい映画。伏線の感じも、さりげなくって、いいです。私としては、★5です。
 
 poster



 テーマは、父と子。愛と罪。因果。そして、男心とは? 

 愛のために罪を働き、正義のためが悪になるかと思いきやヒーローになり、息子が傷つかないようにと、母親は、嘘をつき続けていた父親のことだけど、息子にとっては一番重要で知りたい真実。
 
 人生のなかで、いいもわるいもないような、グレーゾーンを観客に投げかけているのでしょうか。それは、それぞれの人間が、自分のなかで、どこかに妥協なのか納得なのか、自分で踏ん切りをつけるところなのでしょうか。グレーゾーンというものは、運命を受け容れ乗り越えて行くような、そんな概念として、私はこの映画から受け取った気がします。

 言葉にならない、その表情から、「ああ、いまここで受け容れたんだろう」ということが静かに伝わってきました。それがわかると、自然と涙が頬を伝ってきました。

 男性は、大切なこととなると、急に口が重くなるようなところがあるのでしょうか。聴く仕事をしているのもあって、敢えて話せると言われることもあります。
 
 言葉よりもしたことから汲み取ること。表情とか、そうしてしまう行動とかから、感じたいと思い、一瞬たりとも目の離せない141分でした。普通より長めですが、もっと観ていたいと思ってしまいました。

 これは父と子が題材だから、もしかしたら、女性よりも男性の方が汲み取れることが多くて、泣けてしまう映画ではないかと思いました。



公式サイト

 ちなみに、ヒューマントラストシネマ有楽町は、ものすごく小さなスクリーンだったので、豊洲で2回目鑑賞したいところです。