映画『あなたを抱きしめる日まで』観賞しました。母に誘われたので、私の中では劇場で観る予定ではなかったのですが、今日が初日ということでもあり、アカデミー賞4部門ノミネートという注目の作品でした。

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 原作は英国のベストセラーノンフィクション。10代で未婚のまま出産したことにより、親から強制的に修道院に入れられ、3歳になった息子のアンソニーはアメリカに養子に出されてしまう。それから、50年前に生き別れてしまった息子のことをずっと隠していたアイルランド人女性フィロミナは、ある日娘に打ち明け、娘がジャーナリストにこの話を持ちかける。それから、老女フィロミナと再起をかけるジャーナリストが、生き別れた息子を探しに、アメリカへ向かう物語です。


 この映画の見どころと言えば、神様の存在を信じているフィロミナと神様なんて信じないジャーナリスト。そんな二人はずっと噛み合わないままなのですが、「真実を探す」というところは、お互いの共通したゴールであり、まず、そこは観る者として確認したくなるところ。あ、フィロミナは「真実探し」ですが、ジャーナリストは「事実探し」だったのかもしれません。

 また、私的に感じたこの映画のテーマは「ゆるし」だと思いました。ずっと50年間も秘密を隠していたフィロミナは、併せて自分の罪も重荷として50年も背負ってきたのでしょう。でも、息子探しの旅で、息子の事実を受け入れ、そこで終わるかと思いきや、まだ先があって、秘密を握っていた人がそれを隠していたことも、ゆるし、受け入れ、結局最後に自分で見つけた真実に、癒されたのではないかと思いました。

 自分もゆるして、他人もゆるしていけたことで、自分が一番見つけたかった真実に辿りつけた。なんか、全てが大きいのです。田舎のおばあちゃん風の役のジュディ・デンチ(フィロミナ)が!

 色々な人間模様があるなかで、そういう考え方をしたフィロミナに、最後、違いを完全に見させられたというか。生き別れになってしまい、50年も秘密を封印してきたけれど、(誓約書に書かされたのもあり)その息子と会わない間にも、1日たりとも忘れずに、思い描き、信じつづけていたということが、愛なのかなと思いました。

 一緒に観ていた母は、やはり子供がいる目線から観ていたので、もっと感情移入していたようです。私には、味わったことのない感情なのでしょうが、なんとなく、そういう境地になって湧いてくる感情、まだ私に知らない感情が何かあるんだなと言うことはわかりました。

 「つながり」を信じて探し続けて、そのつながりが現実に見えなかったとしても、心の中ではしっかりとつながりを感じられるということが、人は必要なのかもしれない。もしかして、そういうものを人は欲しているのかもしれません。


 色々と言いたいことがありすぎますね。妹に「おすぎがふたりいる」とまた言われそうですが、(笑) 母と私で、ピザを食べながら、思う存分語り合ったのでした。


あなたを抱きしめる日まで