2013年度のアカデミー賞脚本賞の『her』観賞しました。iPhoneに400円でダウンロードして小さなプロジェクターで大きめに投影して鑑賞です。返さなくちゃ、のストレスがありません。最近、TUTAYAを使わなくなってしまいました。そんな未来が来るとは。

無題

 この映画の設定は、少しだけ未来のロサンゼルス。離婚を前提とした別居中で、手紙代筆会社で働く彼が主人公。ある日、OSに恋をしてしまうのです。

 ちょっとした質問に答えて、最適なAI(人工知能)を持つ相棒を割り振られるのです。そのコンピューターの声の相手、サマンサに恋をします。さすが、AI。直感的に物事の本質をつかみ、言葉を発してくるのです。
 最初は、優秀な秘書的な感じで2人のやり取りを観ていましたが、そのうちサマンサは、直感で彼が何かを考えていると察し、彼の悩みを寄り添って聞いてあげたりしながら、コンピューターですから、経験地が増えれば、どんどんアップグレードされて、感情的なものが芽生え始めていくのです・・・。そのうち、2人でデートしたり。彼はイヤホンをつけ、ポケットに入るカメラつきの端末で、サマンサに景色も見せてあげることもできますので。
 周りから見たら、殆どひとり芝居状態でしょうが、この時代はOSに恋をしても何らおかしいと思われない時代になっているのです?!そういうのもあるよね…という、アメリカンな感じでした。(笑)

 同時に、元妻とのやり取りや、友人としてよき理解者の女性とのやりとりなども挟まれていきながら、OSのサマンサが話を聞いてあげたお陰? 愛する心を再び芽生えさせてくれたお陰? で、離婚へと一歩を踏む出す勇気が持てた主人公。またサマンサは、パソコンの中の素晴らしい手紙(仕事で代筆した)を出版社に勝手にE-mailし、出版のアシストまでしてくれました。フリーになったところで、恋している相手はコンピューターの声ですからね。

 観ていて、心の行き場はどこなんだろう?って、考えされられました。
 例えば私も、ボイトレや英会話レッスンの音を聞きながら、電車に乗っているときは、心の中の景色は、電車の中の人たちではなく、さっき会っていた人たち。リアルにいながら、違う場所にも、心の世界は自由に行き気で来てしまいます。
 だけれども、実態のない「サマンサ」ですから、1度のOSのバージョンアップで、たまたま通信ができなくなったときの主人公の慌てっぷりと言ったら、切なくなってしまいました。そして、コンピューターですからね…。わあ、そうきたか! で更に切なさへと放り出されました。



 どうしたら人の心は埋まるのだろうか?余韻がすごく残る映画でした。