先月、個人的にシークレットピアノリサイタルをお願いした、ピアニスト富永峻さんの今月はソノリウムでの演奏会へ。永福町の住宅街にひっそりと教会のようなピアノホールがあるのです。初めて来るひとは素通りしてしまいそうな場所。私はなぜかご縁があってかれこれ5回目のソノリウムです。個人的に木の椅子にずっと座るのは痛くなってしまうので、初めて100均の折り畳み座布団を持参しました。富永さんが、私がどれくらい大きさのものを持ってくるのか? 心配されていましたが、ぐっとコンパクトだった現物を見て安心されていました。(笑)1枚あるだけで、雑念が消えましたね〜。どうやったらピアノ鑑賞がぐっと深まるか、こうして研究しています。

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 さて、今回のプログラムは、シューベルト『楽興の時D.780』とプロコフィエフ『ソナタ第6番 作品82』の組み合わせ。プログラムによると…

◎柔らかく包み込むような音色のシューベルトと強い鋭い音が求められるプロコフィエフ。ドイツとロシアの光と影を感じてみてください。

とありました。

 比較ができるからこそわかりますが、前半のシューベルトは穏やかな感じが終始続いていたのにたいして、プロコフィエフは、いきなりの不協和音で目が覚めたというか! ピアニスト間違えたの?! と素人は思ってしまいます。(笑)でも、それが続いていくのでそういう調べなんだと、驚きました。

 それよりなによりも驚いたのは、今回、ピアニストの弾いている様子を真上から撮影した映像が、白い壁に投影されていたということです。前半は、意図して目を閉じて聴いていたのですが、後半はプロジェクター投影されているのでそれを観ることにしたのです。

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 いつもならば、作品として音として、納品されたものが耳に入ってくるのがピアノのパフォーマンスだという捉え方でしたが、今回納品される前の弾いている指が投影されたことで、ピアノは鑑賞というのは、音を聴くだけでなく、ビジュアルでも楽しめるものだという発見がありました。

 しかも、ビジュアルで観ながら音も同時に聴いていると、集中力が増して、時間があっという間に感じました。時間があっという間に立つというとき、潜在意識にアクセスしていると言いますから、リラックス効果もとても高くなっていたのだと思います。
 こうしたプロセスを垣間見ることによって、ピアノの音が自分のためのものという立ち位置から、ピアニストの演奏そのものが芸術に見えてきました。私が思っていたよりも、ピアノの鍵盤の叩くところが、内側のものと外側のものとあったり、あるときは、あんなに端のほうを叩いていたとは知りませんでした。ほんとすごすぎて、圧倒されました。圧倒という刺激が今の私にとってプレゼントになりました。富永さん、素晴らしい演奏をありがとうございました!

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 演奏後、ワインも振る舞われ、スパークリングワイン1杯でほろ酔い気分がてら、西洋の教会の雰囲気の場所から、突如現れた和風×桜。ここにも光と影。演奏会のテーマとシンクロしていました。